トランジションのさなかの「ピンチ」は「チャンス」になる:30分遅くなっただけで…共働き世帯 悩ます「朝の“小1の壁”」(NHK)
こんな報道をNHKのニュースサイトで見かけました。

30分遅くなっただけで…共働き世帯 悩ます「朝の“小1の壁”」
いわゆる「共働き」が当たり前になってきたからこそ、この「問題」が発生しているのでしょうね。昔は「専業主婦」があたりまえだったから、あるいは「専業主夫」もでてきて、いずれにせよ子供が小さいうちはあまり働かないのがあたりまえだったからこそ、問題ではなかったのでしょう。
しかし最近は子供の年齢は不問で働きに出るのがあたりまえになってきました。それがよいことか悪いことか(2人で目一杯働かないと生計が成り立たないほど労働者の賃金が低くなって、逆に資本家の不労所得が増大しているのであれば悪いことと言えるでしょう)、一概に結論付けることは難しいのですが、いずれにせよ、あたりまえが変化しつつあるという事実は、いまそこにあるわけです。
で、この記事のなかで、子どもの面倒を見るために、時間の融通が利かない大手企業から、融通の利くベンチャー企業に転職したという父親が出ています。
これって、ベンチャー企業にとっては大きなチャンスを示唆してはいないでしょうか?
だってまだ専業主婦があたりまえであった時代にロクに子育てにも関わらず仕事をしてきた昭和20~30年代生まれの経営者がエラそうにしている大手企業では、やはり融通が利かないわけです。あるいはもしかすると昭和40年代生まれの経営者であったとしても、まだ相対的に収入が高かったものだから、自分の世帯では「専業主婦」に子育てをすべて押しつけていた人もけっこういるかもしれません。そうなると、「子どもを学校に送り出すから9時半まで出社できない」みたいな説明をしても上司には通約不可能、つまり「イミフ」扱いを受けてしまうわけです。
で、そういう時代遅れな企業の中で、いわゆるワークライフバランスを維持できない(優秀な)中堅社員が出てきたときに、「うちはフレキシブルですよ」とベンチャーなりなんなりの会社がオファーできれば、即戦力の社員を簡単に引き抜けるでしょう。しかも転職したい人の利害は時間の融通が主であって賃金ではないので、無理に高い給与を設定しなくても大丈夫でそうです。
つまりこれは雇用形態等で自由をきかせられる企業にとっては大きな「チャンス」なわけです。もちろん、そもそも、そんな「ピンチ」を子育て中の夫婦に押し付けている日本社会がクソで、北欧のように、子育て中は時短勤務だったりそもそも働かなかったりするのがあたりまえの社会のほうがよい、という説もあるわけですが、現時点の日本でいますぐどうこうなる話でもなさそうです。
ということで、勤務時間の自由さをアピールできる会社・組織が、今後成長していくような気がします。逆に自由にできない会社・組織は、今後衰退していくのではないでしょうか。
2024/04/12 8:03 AM - ツイート
【祝】「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」がトランジション・マネジメントを採用!
昨年夏、トランジションの必要性とその加速についてまとめた「トランジション」という書籍を出版させていただきましたが、当初、思ったほど反響がなく、ショボーン(´・ω・`)としておりましたが、最近になってジワジワとインパクトが出てきました。
で、政府(環境省、農林水産省、経済産業省、国土交通省の連名)が先週、3月29日に「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」なる文書を発表しました。
その末尾になんと、下記の1文が入りました!
トランジションマネジメントの考え方に則り、アーリーアダプター(初期少数採用者)をアーリーマジョリティ(初期多数採用者)へと拡大するための施策を展開しつつ、施策の進捗による効果を見極め、経済活動にもたらす影響も踏まえた上で、必要に応じて適切な規制を含め施策の深化を図る。(p. 24)
自分はそもそも、「ネイチャーポジティブ」についてほとんど知見がなく、審議会にも全く関わっていないのですが、公私含めて小職の複数の知り合いのみなさんが生物多様性研究の関係で本件に関わられているようで、その関係でつながりができたのかもしれません。この文書の最後のとりまとめの頃には、さすがに環境省のご担当者とコネクションができまして、文章についていろいろやりとりさせていただきました。今年1月には環境省主催のシンポジウムでもトランジションについてご紹介させていただきました。
そんなこともあって、ネイチャーポジティブについて少し勉強してみたのですが、まさにこれはトランジションが必要な施策なのですよ。要は、従来(産業革命以降?)の生産システムは生物多様性の減耗を暗黙の前提にしてしまっていたけれども、経済活動を停滞させることなく生物多様性の維持・改善(=ネイチャーポジティブ)を図るためには生産システムの抜本的な入れ替え、つまりトランジションが必要なのですね。
もちろん従来から生物多様性(というか自然)を守ろうということで、山村で活動家みたいなことをする人たちは日本にも世界中にも、たくさんいたとは思いますが、彼らが社会経済活動の「あたりまえ」にはなってないのが現実でしょう。ニッチにとどまってしまっていますし、社会経済活動の縮小を志向している人も多そうです。またいわゆる大企業も、欧州で気候変動と並んで生物多様性についての監査・情報公開を要求されるようになってきたことから、危機感を抱き始めているようで、トランジションへの圧力がかかりつつあるようですが、やはり現在の経済システム(レジーム)の下でこれまでの「あたりまえ」を変えることは容易ではないようです。フロントランナー的社会起業家などは出てきているようですが、やはり「経済合理性」の観点で市場の拡大へとつながりずらい、要はキャズム問題に直面している模様。
そんなこともあり、日本の気候変動対策は相変わらずGXということで、ラジカルなトランジションがあまり前に出てきませんが、ネイチャーポジティブについては「トランジション」の意識が広まりそうな予感がしています。残念ながら日本政府の気候変動対策は欧米諸国に比べて大幅に出遅れているように見えますが、生物多様性・ネイチャーポジティブの分野ではトランジションを一気に加速させて欧米を見下せるくらいの勢いがつくといいなぁ、と期待しています。
2024/04/05 6:55 PM - ツイート

