交渉学講座

このページでは交渉学の基礎について紹介しています。小職がMIT・ハーバード大学でnegotiationとconsensus buildingの勉強をしていた1990年代後期につくったホームページで、最近ではほとんど更新しておらず、コンテンツとしてかなり古いです。きちんと勉強したい人は下記の拙著を読んだり明治大学・東京大学での講義を受講いただけますと幸いです。

ここで紹介している交渉学は、どちらかといえば「ハーバード流」と呼ばれるもので、ゲーム理論などの意思決定分析の考え方に大きく影響されています。交渉について考える枠組みは他にもいろいろなものが存在しますが、個人的にはこの「ハーバード流」がいちばん判りやすく、理路整然としているのではないかと思います。

われわれ誰もが日常的に交渉をしているものですから、ご自分の日常生活を振り返りながら以下のページを読み進めていただければ、交渉学とはどのような理屈なのか、容易に理解していただけるのではないかと思います。

ハーバード大交渉学プログラムでの講義の様子 ハーバード大交渉学プログラムでの講義の様子 ハーバード大交渉学プログラムでの講義の様子
ハーバード大交渉学プログラムでの講義(社会人向け講座)の様子

もくじ

  • 交渉学とは
    イントロダクション。そもそも米国におけるNegotiationとはどんな研究領域なのかを紹介します。
  • 配分型交渉
    ゼロサム交渉、distributive bargainingとも呼ばれる種類の交渉の構造を説明します。
  • 統合型交渉
    integrative bargaining、Win/Win交渉とも呼ばれる「望ましい」交渉の姿を紹介します。
  • パレート改善
    統合的交渉の裏に潜む新古典経済学の理論を説明します。実は交渉学は合理的主体による効用最大化を念頭に置いています。
  • BATNA
    交渉で損をしないための鍵となる考え方で、誰もが知っている"Getting to Yes"というベストセラーで一躍有名になったキーワードです。
  • 期待値
    交渉につきまとう不確実性が短期的合意にもたらす影響、長期的な視点から見たリスクについて説明します。
  • ZOPA
    交渉が「可能か」どうかを判断する上で必要となる交渉可能領域ZOPAの考え方について、パレート最適を含め、意思決定分析について少し突っ込んだ講義をします。
  • メディエーション (調停)
    経済学の領域から一歩出て、今度は社会性の強い「紛争」に着目し、交渉が自発的に始まらない状況を打破し、暴力的処理を抑止する手段である「メディエーション」について概要をお話します。
  • 代理人(エージェント:agent)
    誰かに交渉を任せる場合の注意点、緊張関係について概観します。
  • 価値創造と価値分割 (Creating and claiming value)
    統合的交渉だからといって気を抜いてはいけない! 交渉に潜む価値創造と価値分割の緊張関係を説明します。
  • コンセンサス・ビルディング (Consensus Building)
    私が専門としている、合意形成の具体的な方法論について説明します。
  • 相互利益型交渉(Mutual Gains Approach to Negotiation)
    交渉の方法論、流れについてざっと説明します。

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おとしどころの見つけ方:世界一やさしい交渉学入門

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クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
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交渉分析のいちばん基本的なところを、ビジネスとプライベートのストーリー仕立てで紹介しました。わかりやすさを追求しましたので、気軽に読んでいただけると思います(それでもまだ、ちょっと堅苦しい文章が多いかもしれませんが・・・)。

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こちらのページで以前から紹介してきた交渉学について、エッセンスを一冊の本にまとめました。内容は大幅に加筆修正していて、ほとんど書下ろしです。

内容は、交渉学の基礎から、マルチステークホルダー交渉の論点、社会的合意形成としての交渉の論点、科学技術の発展にともなう合意形成の論点など、幅広く扱うことにしました。しかし新書ですので、できるだけ平易に書いたつもりです。

「交渉」に関連する書籍は、概して小手先のテクニックばかりのノウハウ本だったり、逆に法律・契約事務といった特定の領域の専門書だったりと、何かが欠けているような気がしてきたので、そこを埋めるための「交渉学」の本として書きおろしてみました。交渉学をすでに知っている人にとっても、本書の後半で、合意形成という観点で何か新しい知見があるように書き下ろしたつもりです。もちろん、交渉学について何も知らない人でも、交渉を客観的に理解するためのツールをご理解いただけるように詳しく説明してあります。いろいろな読者の方々に、小手先のテクニックではない、交渉学と合意形成論について興味を持っていただければなと思っています。

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コンセンサス・ビルディング入門:公共政策の交渉と合意形成の進め方

ローレンス・サスカインド、ジェフリー・クルックシャンク・著 城山英明、松浦正浩・訳
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多者間交渉により大多数の合意を追求する「コンセンサス・ビルディング」の概要を知ることができる本です。投票による過半数ではなく、審議により多様なステークホルダーの合意を形成して、本質的な問題解決を図ることの重要性が、具体事例をまじえながら紹介されています。電車のなかでパラパラと読める内容だと思います。

注:Googleで検索すると、このページの内容を引用元の明記なくほとんどそのまま引用すること、即ち「パクリ」をしている人がいるように見受けられますが、いますぐやめてください。私も大学などで学んだことですから、理論などの面でほぼ同じ内容が別の人から紹介されることには全く抵抗はないのですが、本サイトでわかりやすく説明するために考えた「たとえ話」などは私のオリジナルも多く、そこらへんをパクられるのは極めて遺憾です(まぁ私自身、わかりやすい説明ができている自信もないですが・・・)。学術論文、講演などにおいて、広く認められている体裁で引用元が明示されるのであれば、参考文献扱いで適宜ご引用ください。

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