ふたば未来学園中高(@広野)に伺ってきました

科研費研究の一環で、ふたば未来学園中高を視察させていただきました。中等教育における紛争対処教育ということで、「演劇」を使ったロールプレイ、empathy能力の涵養を行われているそうです。

高校1年生が、双葉郡において二項対立の論争となりがちな課題について、それぞれの立場の人から話を聴いて、その対立的関係をベースとした短時間の作品をつくって、さらに演じているそうです。それぞれの視点を考察させることで、紛争・対立・利害を分析する能力を涵養して、さらにそれを実際に演じることで、他者へのempathy能力を高めるとのこと。

もともと平田オリザ氏が直接、プログラムを開発したそうですが、現在では同校の教員(ただし演劇による教育の専門性あり)が運用しているようです。

かなり昔の事例ですが、自分は「まちづくり」の文脈で、演劇を用いた合意形成・行政職員研修なんてものを見聞きしたことがありました。昭和末期か平成だったか・・・けっこう存在していたように記憶しているのですが、ネットで検索しても資料が見つかりません・・・。しかし自分は「演劇」系の取り組みは、なじめないというか、毛嫌いというか、興味が持てなかったもので、「へぇ・・・」と遠目に眺めるだけで終わっていました。

とはいえ今回お話を伺ってみると、演劇は一種のロールプレイなんですね。自分の交渉学の教育でも、模擬交渉というロールプレイを数多く利用します。受講生は与えられた役割の説明(指示書)を読んで、その役割を「演じる」わけですが、それこそまさに台本のない演劇なわけです。そういえば自分も、模擬交渉の説明をするときに「これは即興劇なんですよ。」という説明をよくしていました。

今回視察した事例は、即興劇ではなく、事前に台本を用意するので、違うといえば違うのですが、その本質は交渉学教育の模擬交渉・ロールプレイとほぼ同じような気がします。

違いは何かといえば、交渉教育の場合は、指導者の側が理解してほしい内容を踏まえたシナリオ(ある意味台本)を与えるのに対し、教育の場合は、受講者がみずから台本を作成することかなと思います。そう考えると、「高校生が台本を作る場面で、どういう指導が行われるのか?」が個人的にはいちばん重要に思えてきました。

2026/01/28 9:35 AM -


「触媒」でしかない双葉町の住宅開発

こんな記事を見かけました。

地域ニュース 双葉駅西側100世帯整備 来春第1期開業、大和ハウスが優先交渉権 (福島民友)

で、最後の1行がコレ。

町内の居住人口は196人(1日現在)。22年8月に町の中心部で避難指示が解除されて以降、200人には届いていない。

ということで、もう3年半経ったものの、人が戻ってこないので、賃貸住宅をこれから建築するそうです。

「1LDK28世帯、2LDK72世帯」だそうですので、いわゆる子育て世代向けが中心でしょうか。あるいは帰還を考えている高齢者か。

そのこと自体は計画として筋悪ではないようには思います。自分は徳島県上勝町の動きを以前から観察させていただいていますが、上勝町もふるさと創生交付金で町営住宅を建築したことが、その後のIターン者獲得において重要な足がかりとなっています。

他方、30歳前後の子育て世代であれば、人生の半分(記憶ベースなら大半、と言ってもよいでしょう)は震災後なわけですし、実質的には「帰還」というより「移住」となると思います。

であれば、双葉町が「移住先」として選ばれる地域でなければ、これらの賃貸住宅に入居する若者はなかなか見つからないでしょう。

そういう意味では、これらの賃貸住宅は、「移住受け入れ」や「復興」の必要条件であるとはいえ、十分条件ではなく、触媒のようなものでしかありません。むしろ「双葉町に移住したい、定住したい」という魅力をどう、双葉町がつくりあげていけるのか、それが今後の試金石なのだろうな、と思います。

さもなくば、廃炉作業員向けの借り上げ社宅になってしまうんじゃないか・・・という気がします。

2023年2月に双葉駅前に伺ったときの写真…

2026/01/24 9:39 AM -


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