ZOOMによる交渉効率化の可能性
いやほんと、今日はビックリしましたよ。
小職が東大の公共政策大学院で10年以上担当している科目「交渉と合意」。交渉分析の基礎と政策形成への応用をお話ししているのですが、今日は6者間での公共事業に関する合意形成模擬交渉。
「ハーボコ」という教材で、小職のMITの師匠が制作した教材なんですが、利害調整の論点が5つもあって、しかも各役割の利害が複雑に入り組んでいるのに、授業時間内の1時間半で合意形成を図る必要があり、さらにちょっとしたトリックも仕組まれていて・・・

という、なかなかスリリングな演習です。この講義を受講した修了生のみなさんのなかには、この演習のことを忘れずに覚えている人も多いと思います。
で、何がビックリしたかといえば、今日はオンラインでやったわけです。
ZOOMでブレークアウトルーム機能をつかって原則6人1組(3グループ)に分かれて演習に参加してもらったんですね。
オンラインだからコミュニケーションがうまくとれないだろうなぁ、6者間なんて話し合いになるのかなぁ、と、やってみるまではドキドキでした。実際、ブレークアウトルーム機能が想定通り機能せず、講義開始直後にいったん全員にログオフしてもらって再度立ち上げなおすといったトラブルに見舞われたほど。
ですが、3グループのうち、2グループがなんと1時間程度で6者間合意に到達してしまったのです!

通常であれば1時間半かかる演習が2/3の時間で合意に達してしまう、しかも例外的ではなく3事例のうち2事例、しかも覗き見していた感じ、特になにか「凄い」進行が行われていたような感じではないグループで、短時間で合意形成成功とは・・・。
これはZOOMというかテレビ会議の可能性を示唆しているような気がします。いちどnegotiation journalあたりで既往研究がないかどうかチェックしたいのですが、マルチステークホルダーの合意形成をオンライン会議にすると、時間の効率化が図られるのかも。とはいえ逆に、議論の質がどうだったかの検証も必要なんですがね。
コロナ禍は多者間交渉を大きく変えるトリガーなのかもしれない、と思うと鳥肌ザワザワした午後でした。
2020/06/09 11:14 PM - ツイート
未分類インスタによる旅行の記憶の外部化とそのリスク
先月、ロッテルダムからDerk Loorbach先生にいらしていただき、金沢市でレクチャーしていただいたのですが、そのときのこと。金沢駅前の鼓門のところで、観光客がみんな写真を撮っているわけです。スマホが普及したこと、インスタグラムが大流行なことで、「観光」の目的が、スマホで写真を撮ってインスタにあげること、になってきたんじゃないかと思えてきました。

そんなことをDerkと雑談していたら、彼の友人のラジオパーソナリティが、番組でおもしろい問題提起をしていたと教えてくれました。みんなが旅行中、なんでもスマホで写真を撮るようになると、その映像を自分の脳で記憶する必要がなくなり、スマホのメモリに記憶してもらえばよくなるわけです。結果として、自分が旅行でどこに行ってどんな経験をしたのかという情報も、自分の脳内には記憶として残らなくなってしまい、スマホで検索しなければならなくなる。そしてもし、スマホが壊れちゃえば、どこに旅行したかも覚えてない事態に至る・・・なんて話をラジオでしていたそうです。
これは「記憶の外部化」と言われる問題で、何もインスタに限った問題じゃないかもしれません。昔の日本人だって旅行するときにはカメラを首からぶらさげて、写真を撮るのに夢中になる、というのがカリカチュアとして存在してたわけで、現像した写真がなくなっちゃうと、どこに行ったのか忘れちゃってたかもしれませんね。いまでも、昔の写真を見つけると、「ああ、そういえばこんなところに行ってたなぁ」なんて思うこともありますよね。
とはいえ、スマホが広まったことで、旅の記憶の外部化がさらに進んだことは間違いないのではないかと思います。そして、たとえばインスタのアカウントが消えてしまうと、自分の旅の記憶も消えてしまう、という時代が来ているのかもしれません。
そう考えると、インスタ(や他のSNS)に敢えて投稿しない旅、というのもこれから逆にトレンドになるかもしれませんね。
自宅が泥棒に入られるリスクも減りますしね。
2020/02/21 4:29 PM - ツイート
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